なぜ人は虐待するのか　BookNozawa.htm

　著者は知的障害のある息子をもち、毎日新聞社会部副部長として、また全目本手をつなぐ育成会の権利擁護委員会委員長として、障害者の権利を守る活動を精力的に行っています。
　知的障害児者の親・きょうだいや福祉施設職員は、むずかしい「しつけ」や「訓練」などで悩み、「ことばの暴力」も含めた権利侵害（虐待）をしたことが全くないと言える人はいないのではないのでしょうか。それに気づかず、あるいは自分の行動を正当化したり都合の良い言い訳をしながら、どんどんエスカレートし、時には陰惨な虐待に拡大する過程をわかりやすく分析しています。親ならでは話、ジャーナリスととしての取材など、幅広い題材と視点をもった内容です。自閉症で知的障害のご長男を中心として家族の話には自分の姿と重なり笑いそして涙を流し、同じ父親の立場として親近感を感じます。また、権利侵害・権利擁護に対するすばらしい指針を与えてくれます。特にお父さん方にはぜひ読んでいただきたい本です。（2006.4）

＜本文より＞
　虐待はやられる障害者に深い傷を残すだけでなく、虐待する側も、それを止められない親も、知りながら黙殺する行政も傷つけ、だめにしていきます。そんな世の中に言葉のない息子を残していくことが、私にはどうしても耐えられないことのように思えました。